戦前の百五銀本店を再現 津の山口さん、ジオラマ寄贈

【矢形部長(右)にジオラマを手渡す山口さん=津市丸之内の百五銀行丸之内本部棟で】

【津】大正13年に建てられた旧百五銀行本店を再現したジオラマの寄贈式が15日、三重県津市丸之内の百五銀行丸之内本部棟であった。製作した同市殿村の会社員、山口幸伸さん(47)から同行経営企画部の矢形誠之部長に作品が贈られた。

山口さんは10年以上前から趣味でジオラマ作りをしており一昨年から個展で発表してきた。先天性の四肢障害で両手の中指が欠損しているが細部まで丁寧に作り込まれた作品には定評がある。

作品「旧百五銀行本店と岩田橋」は、津市内の古い建物を再現した個展会場で先月下旬まで展示した作品の中の1点。製作に当たり同行から当時の写真など資料提供を受けた縁で寄贈が実現した。

【山口さんのジオラマ作品「旧百五銀行本店と岩田橋」】

同行によるとモデルとなった旧本店は大正13年に建てられた鉄筋コンクリート造りの4階建てで、津市の名所として評判になったという。昭和20年の津空襲で被災し1階と地下1階以外が消失した。

寄贈式で山口さんは「今は存在しない戦前の建物を作ろうと思った。こだわったのはブロックの部分で、建物の再現性を高めるために箱の上にプラスチック板を張って塗料を塗った」と紹介した。

矢形部長は「リアルに再現されていて素晴らしい。当行の歴史の中でもこの建物は重要な役割を担ったのではないか。ジオラマは歴史資料館に展示させていただき当時の旧本店のイメージを知っていただけるものとして活用したい」と述べた。