2023年9月17日(日)

▼厚生労働省が新型コロナ新規感染者のワクチン接種歴の「不明」者を「未接種」に計上していた。何らかの意図があったのだろう。同省は4年前にも基幹統計の毎月勤労統計調査の不正が指摘されている。統計を使って人を騙(だま)す方法はいくつものベストセラーになっているが、関係づけられて数字やグラフを示されると怪しい話も信じたくなるのが人間の特性であるらしい

▼県立大設置の是非を検討する有識者会議が新たな費用対効果を示した。学生の県内定着による経済波及効果が県立大整備や運営費の「最大1.589倍」で、従来の「最大3.131倍」から急降下した

▼従来の試算環境が実質的に変わったわけではない。公立大の平均(38%)を用いていた卒業生の県内就職率を、三重大工学部の数字14.9%に変更して、入学定員を引き下げただけだ。三重大の県外学生と卒業後の離県者の多さは長年の県の頭痛のタネであり、県立大新設はその打開策でもあったが、最悪のモデルをデータにした

▼費用対効果悪化はなるべくしてなったのであり、県が三重大の現状を本気で改善する気がないことも改めて浮き彫りになった。1月予定の県立大設置判断を「慎重な検討は必要」と一見勝之知事が持ち越したのが2月2日。「有識者会議は好きでない」と言ったのが3月6日で、その2日後、新たな有識者会議を翌月、設置することを明らかにし、委員がそろわないからと初会合は6月にずれこんだ

▼2回の会合で委員から消極的発言が続出。たちまち風前のともしびに。知事は有識者会議の認識を改めるに違いない。