「動物虐待」根絶を求める 上げ馬神事に愛護者ら、2万人署名 県に提出

【県の担当者(左)に署名を提出する富森さん=県議会議事堂で】

多度大社(三重県桑名市)の上げ馬神事に「動物虐待」との批判が上がっている問題で、県内外の市民らが11日、馬に坂や壁を駆け上がらせる行為の根絶を求める2万917人分の署名を県に提出した。

署名は馬に坂や壁を駆け上がらせる行為が「動物虐待にあたる」と指摘。「抗議の声は国内のみならず、海外にも広がりを見せている」とし、これらの行為を多度大社側にさせないよう県に求めた。

提出したのは、動物愛護の活動をしている有志ら7人。実際に今年5月の神事を見学した上で、6月5日から8月31日までオンラインで署名を募った。欧州や米国などからも署名があったという。

この日、四日市市の会社員、富森美保美さんらが県議会議事堂を訪れ、県医療保健部の中井康博次長と県教委の山添達也次長に署名を提出。署名に合わせて寄せられた474件の意見も手渡した。

富森さんは「馬を危険な神事に出させること自体が動物愛護管理法に定める酷使にあたる」と主張。多度大社側が提示した壁の高さを半分の1メートルに下げるなどの対策をしても、危険性があると訴えた。

一方、富森さんは神事自体の廃止を求めているわけではないと説明。「神事は地元の方々にとって誇りで先祖代々続く大事な祭り。国際社会に認められる神事として、継承してもらえれば」と述べた。

中井次長は「(神事について)多数の厳しい意見が県に寄せられている。改善に向けて進めていく」と説明。多度大社側が示した対策の妥当性についても「学識経験者に相談しながら検討したい」と語った。