三重県立総合医療センター(四日市市日永)は22日、外来患者9人に本来とは異なる薬品名を記載した処方箋を交付したと発表した。システムの更新作業を誤ったことが原因。9人には誤った薬品が処方されたが、センターは「健康被害はなかった」としている。
センターが誤った処方箋を交付したのは、5月に受診した10―80代の男女。本来は抗菌薬の「サワシリン」を処方箋に記載するところ、誤って「バクトラミン」と呼ばれる抗菌薬を記載していた。
六人が処方されたバクトラミンを全て飲んだ。うち1人に副作用とみられる皮疹の症状が出たが、診察時には既に治っていた。バクトラミンはサワシリンに比べて起こりやすい副作用が多いという。
センターの薬剤部で勤務する職員が4月27日、システムの更新作業をした際に入力を誤ったことが原因。これにより、医師がシステムで選んだものとは異なる薬品名が処方箋に記載されていた。
5月下旬、診察中の医師が処方箋を確認して誤りに気付いた。センターは9人に謝罪し、正しい薬品を処方するなどして対応した。入力を誤った職員は聞き取りに「作業を急いでいた」と説明した。
県庁で記者会見した加藤恵一薬剤部長は「迷惑をかけ、おわびする」と陳謝。「間違った処方はあってはならない」と述べ、システム更新時の確認を徹底するなどして再発防止を図る考えを示した。
一方、センターは発覚当初、9人に健康被害がないことを理由に事案を公表しなかった。「外部から意見を受けて再協議し、社会的影響や事案の重大性を考慮して公表することにした」としている。