多度大社に勧告 上げ馬神事で三重県教委「馬への威嚇根絶を」

【定例記者会見で、多度大社への勧告を発表する福永教育長=県庁で】

多度大社(三重県桑名市多度町)の上げ馬神事(県無形民俗文化財)に「動物虐待」との批判がある問題で、県教委は17日、文化財保護条例に基づき、多度大社に安全管理の徹底などを求める勧告を出した。

上げ馬神事を巡る多度大社への勧告は、平成23年に続いて2度目。当時は勧告後も改善されない部分があったとして、2度にわたって助言も出した。多度大社は月末をめどに改善策を示す見通し。

県教委によると、勧告は動物愛護管理法の順守や馬を威嚇する行為の根絶、人馬に対する安全管理の徹底を要請。「神事全体の管理が十分だとは認めがたい」とし、実施主体を明確にすることも求めた。

県教委は学識経験者らでつくる県文化財保護審議会(岡野友彦会長、18人)から3日付で受けた建議を踏まえ、17日の定例会で勧告を決定。事務局の職員が同日、勧告の文書を多度大社に届けた。

この日の定例会では、委員から「馬にとって過酷な状況であることは間違いない」との指摘が上がった。「これまで勧告を受けても改善されていない。しっかり見極めるべき」との声もあったという。

福永和伸教育長は定例会後の定例記者会見で「文化は時代の考えや世相に応じて柔軟に形を変える必要がある」と指摘。「上げ馬神事の営みにも柔軟性が内包されている」と述べ、改善に期待した。

上げ馬神事は若者が馬に乗って坂を駆け上がり、その成否で豊凶を占う伝統行事。700年近くの歴史があるとされる。4年ぶりに開かれた今年5月は、転倒によって骨折した1頭が殺処分された。