盛り土斜面に崩壊の痕跡 津の太陽光発電事業に知事意見 三重

三重県津市白山町三ケ野で計画中の県内最大規模となる太陽光発電事業に対し、県は16日、環境影響評価法に基づく知事意見を出した。計画地では「盛り土の斜面が崩壊した痕跡が確認される」などと指摘。周辺の生活環境や生態系への影響を避けるよう求めた。

県によると、事業はゴルフ場の跡地に24万8千枚の太陽光パネルを並べ、最大で9万3千キロワットを発電する計画。太陽光による発電規模としては県内最大となる見通しで、令和10年中の稼働を目指す。

事業を手がけるパシフィコ・エナジー白山合同会社(東京都港区)は3月、環境影響評価法に基づく方法書を国に提出。県は環境影響評価委員会(塚田森生会長、20人)の答申を踏まえて知事意見を出した。

知事意見は計画地の近くに住居があるとし、設備からの騒音や太陽光パネルの反射光、工事の濁水などによる生活環境への影響が懸念されると指摘。環境への影響を調査し、必要な対策を検討するよう求めた。

また、計画地には崩壊の危険性がある急傾斜地が含まれているほか、盛り土の斜面が崩壊した痕跡も確認されると指摘。森林伐採の範囲や施設の設置場所などについて「さらなる検討」を求めている。

このほか、周辺では県のレッドデータブックで保護の対象となっているサシバなどの猛禽類が生息しているとし、行動の調査などを要請。太陽光パネルの設置は可能な限りゴルフコースに限るよう求めた。

同社が事業に着手するには、同法に基づく準備書や評価書の提出に加え、開発許可の取得が必要となる。県環境共生局は「地域住民と適切なコミュニケーションを図り、事業への理解を得てほしい」としている。