役者絵や大地震の記録 鳥羽大庄屋かどや、明治の随糊帳展示 三重

【歌舞伎絵などが貼られた明治期のスクラップブック「随糊帳」の展示=鳥羽市の鳥羽大庄屋かどやで】

【鳥羽】三重県鳥羽市鳥羽の観光交流施設「鳥羽大庄屋かどや」で、明治時代に制作されたスクラップブック「随糊帳(ずいこちょう)」が展示されている。歌舞伎の役者絵や大地震の記録などが丁寧に貼り付けられ、当時の世相がうかがえる。23日まで。火曜休館。

展示しているのは、江戸後期に薬舗を創業し、大庄屋をつとめた廣野家(屋号かどや)の八代目廣野藤右衛門が明治30年代に作ったスクラップ帳。20冊ある中から3冊を初公開した。

1冊が縦42センチ、横39センチ。蛇腹状に折り畳まれ、広げると長さは約40メートルある。当時娯楽の中心だった歌舞伎の役者の色彩豊かな版画や、当時の実業家らが名を連ねる長者番付「大日本持丸長者鑑」、伊勢神宮や二見夫婦岩といった伊勢の名所を描いた絵図など、貼付されている内容は多様。嘉永7(1854)年に起きた安政大地震と津波の記録には、地元の鳥羽や伊勢に関する記述もある。

廣野家11代目の廣野克子さん(73)は「当時の庶民文化や世相が分かっておもしろい。一つ一つじっくり見てほしい」と話していた。