「義務教育学校」目指す 鈴鹿市、天栄中学区の再編素案提示 三重 

【市側(右列)の説明を聞く市議ら=鈴鹿市役所で】

【鈴鹿】三重県の鈴鹿市は16日、市議会全員協議会で、児童数減少に伴う市立天栄中学校区の学校再編計画素案を示した。令和14年4月をめどに、小中一貫教育で9年間を通した教育課程を編成する同市初の「義務教育学校」の開校を目指すことを明らかにした。

これまでは小中一貫校の設置方針で進めてきたが、小学校、中学校にそれぞれ校長と教職員を配置する小中一貫校と異なり、義務教育学校では1人の校長のもと、小中学校の両免許状を持つ教員同士が連携でき、「より効果的な教育活動を実現することができる」と、今回の素案で方向転換した。県内では津市が平成29年度から開校している。

同中学校区には市の南部地域にあたる天名、合川、郡山、栄の4小学校があり、そのうち合川小では令和6年度、天名小では令和8年度から、2つ以上の学年を1つに編成した複式学級が発生する見込み。

市によると、義務教育学校を市の新たな教育環境としてモデル校と位置づけるほか、特認校として市内全域から通学を可能とするという。新たに小学校と中学校の施設一体型校舎を整備する計画も進める。

一方、複式学級が発生する見込みの2小学校については、郡山小を加えた3校を統合し、郡山小の校舎を活用して令和8年4月に「新たな学校」を開校する計画に変更はない。

市議からは「住民合意が大切だと思うが、市の姿勢の説明しかない。反対意見はどうなるのか」「小中一貫教育と小学校統合の話を一緒にすると議論がややこしくなる」などの意見が出された。

市は21日から9月20日まで、同中学校区在住者などを対象に、計画についての意見を募集するほか、9月9日午前10時―同11時半まで、天栄中体育館で計画の説明会を開く。

その後、地域の意見をまとめ、計画に反映させて令和6年2月に、保護者や地域住民、学校関係者らで構成する、新小学校開校に向けた準備委員会を立ち上げる予定。