2023年8月11日(金)

▼「前を見て横目で美人を見る技術」だったか。昔、全国紙の川柳欄で見てニヤリとしたが、笑ってばかりでもいられないと思ったのはその前後、女性の後ろ姿を執拗(しつよう)に見たとして迷惑防止条例違反で有罪判決が出たからだ

▼付けていくなど「執拗」ぶりが尋常ではなかったようだが、美人とすれ違って思わず振り返るという昔から当たり前とされていた行為も、男目線が前提だったと気づかされもしたからだ

▼写真を撮るなどはその最たるものだが、スマホ、携帯などカメラ付き電子機器が普及し、誰もが見るように写真撮影できる時代になった。誰もが「執拗に見る」ことのできる時代になったということだが、便利さや手軽さに関心が向けられ、そのことに気づかないのではないか

▼写真撮影の傍若無人さは半世紀前の写真週刊誌ブームに始まる。何でも許され、類似誌が相次ぎ、並行して写真投稿誌が多く生まれた。芸能人のハプニング写真などが標的となり、コンサートなどでのカメラ持ち込みが禁止されていく。女性アスリートも上位のターゲットだった

▼これら雑誌の多くはやり過ぎ批判やプライバシー侵害、飽きられるなどで休廃刊になったが、それらに刺激され、群がったのぞき見精神は携帯、スマホ時代に再びカマ首を持ち上げ、今度は自らシャッターチャンスを狙う

▼全国高校総体は、アスリートの盗撮被害防止のため見回りや通報システムの導入など対策の徹底に乗り出したという。カメラの性能の向上に比べ、こちらは出遅れの感。不審な男性に声をかけ成果を上げたという。焼け石に水でなければ幸い。