2023年8月8日(火)

▼コメディアンの志村けんが新型コロナウイルスで死去した時は日本中がコロナの恐怖を共有した。新型コロナ患者の急増で病床使用率の上昇に危機感を示し、基本的な対策の徹底を呼びかけたばかりの一見勝之知事が、自ら感染した。5類移行で警戒心が緩んでいるとされる風潮に一石を投じる契機になるかどうか

▼世間の風潮はともかく、県庁舎は警戒厳重を極める。職員はむろん、マスクをしない来庁者を見たことがない。庁内放送はひんぱんに外出帰りや食事前の手洗い、喚起を促す。知事はさらにワクチンも5回目まで接種していた。会議で同席した職員の感染兆候もない。感染経路が分からないというコロナの特徴の一面を体現している

▼岸田文雄首相が感染したのはちょうど1年前。公邸内の私邸で10日間自宅療養となるため、1週間後に迫っていたアフリカ開発会議への出席を取りやめた。濃厚接触者となる同居家族も、最短3日間の自宅待機となった

▼5類移行後の自宅待機の目安は発症後「少なくとも5日間」。知事は7日の紀北町長との「円卓対話」を延期したが、11日後のブラジル出張には支障がないようなのでめでたい。コロナではないが、県幹部がけがなどで、公務に影響することはこれまでもあった

▼記憶に新しいのは県教育長時の廣田恵子副知事。私的作業中骨折。当時の鈴木英敬知事が幹部の行動について苦言らしきものをにおわせた。稲垣清文前副知事も骨折。「私なんかの骨折が新聞に載るなんて」と言われたが、むろん苦言だろう

▼いや、大幹部の自宅療養は県政の一大事、と答えた。