「まる見えリポート」鈴鹿市の学校再編 三小統合方針に反対の声

【公開質問状の内容について確認する会員ら=鈴鹿市徳田町の徳田ふれあい会館で】

児童数減少に伴う学校再建計画で、三重県鈴鹿市が令和8年4月に南部地域の市立合川、天名、郡山の3小学校を統合し、新たな学校の開校を目指す方針を示していることに、地元の保護者ら有志を中心とした「小学校を存続させる3地区の会」(畑憲二代表世話人、約20人)が反対の声を上げ、統合方針の白紙撤回を求める署名活動を始めた。市は統合の可否を今年度末までに決めるという。

10日の定例記者会見で、末松則子市長は「早ければ令和10年度以降に(3校がある)天栄中学校区に小中一貫校の設置を目指しているが、3校の統合についてはできるだけ地域の気持ちに添いたい」との考えを示し、「統合の話は令和2年度からあり、当時は『(2つ以上の学年を1つに編成した)複式学級は避けたい』という地域の声が多く、現在の計画になった」と経緯を説明。「無理に統合するつもりはない。方針は決定していない」と、地域の声に寄り添う姿勢を見せた。

市によると、合川小は令和6年度、天名小は同8年度から複式学級が発生して「過小規模校」(全校で5学級以下)となり、郡山小は「小規模校」(同6―11学級)の状況が継続すると見込まれることから、市は郡山小の施設活用を想定した3校の統合を検討。

小中一貫校については、今回の統合計画には含まれていない栄小学校を含めた4小学校と天栄中学校を一体とする構想で、市のモデル校として令和10年度以降の実現を想定する。

市は8月16日の市議会全員協議会で、小中一貫校や3小学校統合を含む計画の具体的な方向性について説明するという。

一方、「3地区の会」は「市教委は地域説明会で『地域、保護者とともにこれからの小学校のあり方について考える』とするが、統廃合ありきで地域住民の疑問や提案を全く聞いていない」と市の対応に不信感を募らせる。

畑代表世話人(73)は徳田町の元自治会長で、令和3年に天名小学校存続に関する要望書を市教委に提出した経験がある。当時、町内全世帯の約95%にあたる166世帯、388人が存続を求めて署名したことを根拠に「地域の総意は存続が本音なのではないか」と解釈する。その上で「学校を存続させるためには、近隣の大規模小学校との平準化を図る仕組みを構築するなど、複式学級ではないやり方もある」と話す。

28日夜、同市徳田町の徳田ふれあい会館で同会の会合があり、10人が参加した。会員らは「小規模校、複式学級の良さにも目を向けてほしい」「小中一貫校は分散型、併用型など多様なモデルがある。各小学校が存続するなら検討の余地がある」と熱心に議論を交わした。

会員の一人、同市徳居町の垣内凪沙さん(29)は合川小5年生と3歳の兄弟の母親。「弟はちょうど当事者になるので、今のあいまいな状態で子育てしていくことが不安。兄は『学校がなくなるの?』と泣いて帰ってきたことがある。市が地域の声を聞いているとは思えない」と話す。

今後、8月上旬にも末松市長と廣田隆延教育長らに充てた公開質問状を提出するほか、市議会議員にも賛否を問う計画を進める。

現在継続中の署名活動については、8月末ごろまでを区切りとし、改めて市に提出する考え。

畑代表世話人は「市教委が統合の根拠とする『市学校規模適正化・適正配置に関する基本方針』には、主体は行政ではなく地域と明記してあるが、いつの間にかどこかでずれて行政主体になっている。一度立ち止まって真剣に考えてほしい」と話した。