中世から近世の雲出川流域ひもとく 津で郷土史家の浅生さん歴史講演会 三重

【講演する浅生氏=津市一志町の一志農村環境改善センターで】

【津】三重県津市一志町のボランティアガイド団体「一志町歴史語り部の会」(海野幸子会長)は23日、同町の一志農村環境改善センターで歴史講演会を開いた。郷土史家で三重郷土会常任理事の浅生悦生氏(78)=同市安濃町=が「雲出川流域の歴史をさぐるⅢ 中世から近世」と題し、地域に残る文書などから流域の歴史をひもといた。

地域の歴史に理解を深めようと専門家を招く講演会で、一昨年の原始から時代を追って浅生氏が話す第3弾。県内を中心に85人が聴講した。

浅生氏は室町時代後期から江戸期にかけての文書を基に、地区ごとの出来事を解説。白山地区に加賀白山の信仰に基づく白山比咩神社が多くあることについて「近年白山信仰は鎌倉時代頃始まって一度廃れ、1500年代に鎮徳上人が再勧請したのではと考えられている」と説明し「北畠氏が長野氏に対し一致団結を図るため白山信仰をうまく取り入れたとの説もある」と述べた。

流域の南家城に約3キロ続く「家城ライン」について津藩主や久居藩主、高田本山法主らが遊覧した記録があるとして「津藩第一の景勝地で素晴らしい景観があった。もっと宣伝してもよいと思う」と指摘した。

このほか久居陣屋、雲出井、寛政大一揆など話題は多岐にわたり「雲出川が果たす役割と人間の歴史とは密接につながっている」と熱く語った。