地域の伝承まとめ、後世に 鈴鹿の山川さん、信ぴょう性調査 三重

【「後世に歴史を伝えたい」と話す山川さん=鈴鹿市柳町の自宅で】

【鈴鹿】三重県鈴鹿市柳町の山川登さん(76)は、祖父から聞いた地域の伝承をまとめている。「後世に歴史を伝えていくために、いつか調べたことを一冊にまとめて発表できたら」と、意気込みを語る。

山川さんは9歳のころから中学入学まで、祖父の茂治朗さんから毎晩、地域に伝わるさまざまな昔話を聞いて育ったという。

地元の氏神「矢椅(やぎ)神社」の「矢椅」は、「イザナギノミコトの子孫を表す」という言い伝えのほかに「枝状に分かれた地形にあることを指す」ことや、現在の近鉄柳駅の場所には竜退治の言い伝えがあり、織田信長が焼き討ちした「慶長寺」があったことなど、子どものころはどの話も信用していなかったが、県職員として働く中で、地域の伝承を残していくことの意義を考えるようになり、70代になってから本格的な調査を始めた。

祖父より年上の親類が当時の村長を務めており、「伝承の信ぴょう性は高いのではないか」と考え、インターネットなどで調べたところ、内容が一致することがいくつか判明。3、4年前から、本格的に内容をまとめ始めた。

山川さんは「祖父から聞いた言い伝えだけではなく、鈴鹿を中心とした伝承の検証もしていく」と話した。