三重県内路線価、31年連続の下落 コロナ禍脱し、全体的に改善

【路線価が13年連続で県内トップの「ふれあいモール通り」=四日市市安島1丁目で】

国税庁は3日、令和5年分の路線価を公開した。三重県内では標準宅地の平均価格が前年比0・4%下落。31年連続の下落となった。一方、下落幅は2年連続で縮小し、現在の算定方法となった平成22年以降では最少となった。鑑定評価に当たった不動産鑑定士は県内の商業地について「新型コロナウイルスの影響はなくなった」と話している。

税務署管内ごとの最高路線価は、四日市、伊勢、桑名が前年比で上昇。津、上野、鈴鹿は横ばい、松阪、尾鷲は下落した。前年は桑名だけが上昇。津、松阪、上野、尾鷲の4署管内で下落していた。

最高価格は13年連続で四日市市安島1丁目の「ふれあいモール通り」で、1平方メートル当たりの価格は前年比3・1%(1万円)増の33万円。3年ぶりに上昇し、上昇率も県内トップとなった。

津市羽所町の「津停車場線通り」は19万円。前年までは2年連続で下落していたが、今年は横ばいとなった。県庁所在地にある最高路線価の全国順位としても、前年と同じ40位となっている。

税務署管内ごとの最高路線価で最も低かったのは、尾鷲市古戸町の「国道42号通り」で2・1%(千円)減の4万6千円。2年連続で下落し、名古屋国税局管内の最高路線価では、12年連続で最も低い。

評価に当たった片岡浩司不動産鑑定士は取材に「コロナ禍で落ち込んでいた客足の回復に伴い、県内でも全体的に地価は改善している。名古屋に近い商業地で特に改善が目立つ。住宅地の需要も高い」と話した。

近鉄四日市駅周辺の地価上昇については「かねてから将来への期待感があったことに加え、バスターミナルや商業ビルなどの計画も具体的に動き出している。今後の発展要素が多い」と話している。

一方、下落を続ける県南部の商業地については「客足は回復しているが、地域の衰退という構造的な問題がある。高齢化や過疎化が進んでいることで、地価の下落が収まっていない」とみている。

路線価は主要道路に面する土地の評価額。相続税の申告などで目安となる。国税庁が国交省の地価公示や不動産鑑定士の鑑定評価額を元に1月1日時点の評価額を算定し、ホームページなどで公開している。