大津波の教訓を後世へ 伊勢・二見町で神事「郷中施」 三重

【供え物のキュウリやナス、ミルなどを載せた木舟を運ぶ舞女ら=伊勢市二見町で】

【伊勢】三重県伊勢市二見町江の二見興玉神社の境内社「龍宮社」で2日、江戸時代に起きた大津波の教訓を後世に伝える神事「郷中施(ごじゅうせ)」が営まれた。

1792(寛政4)年5月15日、神社の氏子の江地区が大津波に襲われ大きな被害を受けたが、村人たちは助け合い、村中(郷中)が施し合って水難から立ち直ったことを忘れないよう、毎年旧暦の5月15日に行っている。

この日は、地元の氏子や関係者ら約100人が参列。祭典終了後に神職らが神社前の浜辺に移動し、舞女2人が供え物のキュウリやナス、海藻のミル、塩生植物のマツナなどを載せた木船を海へ流した。供え物は「津波が急にきたら見るな、待つな」という語呂合わせで、先人の教えが込められている。

金子清郎宮司は「地域の人が心を一つにして助け合ったことを忘れないように神事として伝承し、毎年この時期に行うことに意味がある」と話していた。