2023年6月26日(月)

▼新型コロナウイルスが表舞台から見えにくくなったと思ったら、マイナンバーカードを使う「マイナ保険証」の混乱が浮上した。医療機関にとっては「前門の虎、後門のオオカミ」といったところか

▼コロナのパンデミックで政府からの情報提供もオンラインとなり、必要な情報はほんの少しなのに、難解なお役所言葉で大量の情報が個別に送り込まれたと高橋好夫・亀山医師会長が閉口していた。マイナ保険証でも、確実に窓口業務の負担が増え、国民保険と社会保険の誤りもあった。実務的に保険証との併用が必要と指摘している

▼県保険医協会の調査では、回答した156人中、回答した67・9%(106人)が「トラブルがあった」とし、うち69人が「加入者の情報がシステムに正しく反映されなかった」、63人が「機器の不具合でマイナ保険証が読み取れなかった」。「他人の情報にひも付けられていた」との回答もあり、16人が「いったん十割請求した」

▼「ひも付け」なる言葉が注釈なしに頻繁に登場する。衣類のヒモとは関係なく、二つ以上のデータを相互に関連づけたり連結するコンピューター用語。その複雑さも含め、どれだけ承知されているか

▼プログラム上の不具合はバグ(虫)と呼び、修復に大量の時間と手間がかかる。設計思想の異なるシステムを組み上げたみずほ銀行のシステム障害が収まらないのも記憶に新しい。岸田文雄首相は秋までに総点検を終えるというが、蛮勇の気がしなくもない

▼しわ寄せは地方自治体にくるというが当事者の医師の声を聞くべきはコロナと変わりない。