旧統一教会関連団体幹部を選任 三重県、県民税の評価委員で指摘 県議会常任委

【「みえ森と緑の県民税」について説明を受ける環境生活農林水産常任委=県議会議事堂で】

三重県議会は21日、政策企画雇用経済観光、環境生活農林水産、医療保健子ども福祉病院の各常任委員会と、予算決算常任委の各分科会を開いた。環境生活農林水産常任委では、委員から「みえ森と緑の県民税」(県民税)の評価委員に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体幹部が含まれているとの指摘が上がった。農林水産部は教会の関連団体とは異なる団体の代表として選任したと説明。「個人の信教までは調べていない」と答えた。

当局「個人の信教までは調べない」

 <環境生活農林水産=山崎博委員長(8人)>
評価委員への就任を問題視したのは、稲森稔尚委員(草の根運動いが、3期、伊賀市)。自ら調べた結果として「三重県平和大使協議会」の幹部が評価委員に含まれていると指摘した。

【県民税】
これに対し、農林水産部は「県も旧統一教会の関連団体を精査してきたが、個人の信教などは調べていない」と説明。三重県平和大使協議会が教会の関連団体であることは認めた。

稲森委員は「消費者問題を起こしているから救済法もできたのに、そういった団体の人が消費者の代表として参画しているのは極めて不適切」と述べ、県に対応を求めた。

中野敦子部長は「現時点で具体案を持っていない。今後どう対応するのかは改めて全庁的な検討が必要」と説明。「県民が聞いたら県の対応に誤解を生むことはあり得る」と語った。

県立大是非検討「フラットな状態で」

<政策企画雇用経済観光=芳野正英委員長(8人)>
政策企画部は県立大設置の是非を検討する有識者会議の初会合を16日に開いたと報告。県立大に対する県の考えを問われた同部は「フラットな状態で検討している」と説明した。

【県立大】
今井智広委員(公明党、5期、津市)は「当初は県も本腰を入れていたたが、ここに来て投げているようだ」と指摘。「どうしても(県立大を)作りたいと思わないならやめておくべき」と述べ、県の考えを尋ねた。

後田和也部長は「結論から申し上げると、フラットな状態で検討している」と返答。「若者の定着に向けた起爆剤になるとの意見がある一方で、多額の経費がかかる。情報を集めて検討している」と説明した。

また、有識者会議の初会合を傍聴した三谷哲央委員(新政みえ、8期、桑名市・桑名郡)は「出席者は立派な方々だが、今さらこの議論かと思った」と指摘。設置の是非を判断する時期を明示するよう求めた。

県の担当者は「初会合では多角的な観点から意見を聞いた。今後の検討材料を考えてもらった」などとしつつ「根幹の議論には踏み込めなかった」と説明。後田部長は「なるべく早く結論を出したい」と述べた。

がん検診受診率目標に届かず

<医療保健子ども福祉病院=川口円委員長(8人)>
医療保健部は令和3年度中のがん検診受診率が目標値に届かなかったと報告した。コロナ禍の受診控えが原因とみて、検診への呼びかけを続けると説明した。

【がん検診】
県によると、令和3年度のがん検診受診率は、乳がんが前年度比0・5ポイント減の17%、子宮頸(けい)がんが0・1ポイント減の18・6%、大腸がんが0・1ポイント増の7・9%。乳がん、子宮頸がんの低下は2年連続となった。

いずれの受診率も、県が「県政レポート」に重要業績評価指標(KPI)として定めた目標には届かなかった。乳がんで19%、子宮頸がんで20%、大腸がんで9・2%の受診率を目標に掲げていた。

松浦慶子委員(自民党、1期、多気郡)は目標に届かなかった理由を尋ねた。同部は「新型コロナの影響で2年度は全国的にかなり下がり、3年度も戻っていない」と説明。受診率の低下が死亡率に影響することへの懸念を示した。