名張市汚職、元役員が贈賄認める 懲役10月求刑 津地裁

三重県の名張市教委発注の営繕工事の随意契約を巡る贈収賄事件で、元市営繕住宅室営繕担当室長の中西隆之被告(52)=収賄罪で公判中=に現金を供与したとして、贈賄罪に問われた名張市百合が丘東、中嶋工業元役員中嶋孝一被告(62)の初公判が20日、津地裁(西前征志裁判長)であり、中嶋被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役10月を求刑し、即日結審した。判決は7月24日に言い渡される。

検察側は冒頭陳述で、「平成18年ごろ中西被告と知り合い、工事受注の見返りに飲食の接待をするようになった」と指摘した。

中嶋被告は被告人質問で、昨年10月ごろに中西被告から打診があり、雑談を通じて18万円以上するブランド品の高級ダウンベストの写真を見せられたと説明。具体的なやりとりはなかったが、当初の見積もり額から2回にわたる価格調整で20万円以上も額を引き上げられたことで、「ベストが欲しいと思い忖度(そんたく)の感覚で現金を渡した」と主張した。

検察側は論告で、「公務員の職務の公正を大きく害するもので、下請け業者を利用して賄賂金を捻出するなど手口は巧妙で悪質」などと強調した。

弁護側は最終弁論で、「必ずしも高額とまでは言えず、見積もり金額も中西被告の指示で決定するもので実質的には従属的な立場だった。既に代表の立場を退いており、妻や従業員を中心に監督体制を築こうとしている」として寛大な判決を求めた。

起訴状などによると、中嶋被告は当時、水道施設工事業などを扱う中嶋工業の代表取締役として令和4年12月、随意契約の見積もり業者を選定する立場にあった中西被告に対し、工事受注の便宜を図った見返りとして現金18万円を供与したとしている。