2023年6月20日(火)

▼「期待以上の成果だった」「百点満点」と一見勝之知事。2日間の討議日程を終え、閣僚宣言を採択して閉幕したG7三重・伊勢志摩交通大臣会合である。一方、本紙解説は「“当事者ら”を除けば盛り上がりに欠けたと言わざるを得ない」

▼新聞が為政者やその事業に批判的な目を向けるのは使命だが、伊勢志摩サミットに次ぐ大規模な国際会議とされる事業に、これほど評価が分かれるのも珍しい。会合の成果に大きな期待をかけていた本紙が案外な結果に評価が辛くなり、あまり期待していなかった知事が予想以上の結果に有頂天になったということかもしれない

▼県主催の視察に大臣らの参加がなかったことを報道陣に問われ、知事は「相手のあることなので仕方がない」。海外メディアから取材の登録がなかったことには「相手のある話。日本のメディアの力を信じている」。その日本のメディアの登録は約300人。実際にプレスセンターを訪れたのは百人ほどで、ほとんどが日頃県庁で取材する「顔見知り」

▼感覚の行き違いはやむを得ない。取材の段取りなどもお粗末だったようだから、ことあるごとに「おもてなしの心」が伊勢志摩の精神だと強調された伊勢志摩サミットに及ぶべくもない。職員がおもてなしを受けていると見られる場面もあったらしい

▼それでも、各国代表の視察を英語で案内する生徒らに特に米国代表は感激し、予定にない記念撮影を生徒に依頼した。斉藤鉄夫国交相から「三重で会合を開いて良かった」の言葉を受けた。一見知事にしてみると―。「期待以上」で「百点満点」だった。