「もう一つの伊勢参り」ガイド本 文筆家・千種さん発刊、伊勢西国三十三所霊場案内 三重

【ガイド本を手にする千種さん=伊勢市楠部町の松尾観音寺で】

【伊勢】江戸時代、伊勢参宮の帰り道に多くの人が訪ねた「伊勢西国三十三所霊場」を案内するガイドブック「伊勢西国三十三所観音巡礼~もう一つのお伊勢参り」(風媒社)を、三重県明和町の文筆家、千種清美さん(60)が20日に発刊する。

伊勢西国三十三所観音巡礼は、お伊勢参りの後に伊勢周辺から北上し、桑名市までの寺院を参拝する観音巡礼。平安時代に始まったとされ、伊勢参宮が盛んだった江戸時代には「もう一つのお伊勢参り」と呼ばれ栄えた。

昭和50年代には巡礼者が減少し衰退したが、住職らでつくる同霊場会が、巡礼ルートを再編してPRに力を入れ、近年巡礼者が増えたという。

ガイド本では、厄除けで知られる内宮近くの松尾観音寺や、桑名市の多度観音堂など、巡礼ルートである県内14市町の39寺院を紹介。三重の文化や伊勢神宮をテーマに執筆を続ける千種さんが、実際に各寺を巡り、住職らに取材した内容をまとめた。ガイド本として、寺の所在地や公式サイトといったデータと地図も掲載している。

千種さんは「一つ一つ寺を巡り、見て聞いて感じたことをまとめた。このガイド本を手に、それぞれの観音巡礼を楽しんでほしい」という。また「巡礼が伊勢神宮を起点としているのが特徴。神宮参拝の後に県内を周遊する新たな観光コンテンツになればうれしい」と話した。

A5判140ページ、1600円(税別)。20日から、全国の書店やインターネットサイトで販売。