20223年6月19日(月)

▼県立大の設置を検討する有識者会議を発足させることに先立ち、ある県議は「県立大を設けないための理論作りに時間を使っているだけ」。「あまり有識者会議は好きではない」と発言して、谷川孝栄県議から「失礼のないように」と諭されたのは一見勝之知事だが、時間稼ぎに利用されているみたいな言い回しだ

▼同じ問題で有識者会議を再編してまた開くというのも異例だが、メンバーが決まらず発足が公表より1カ月以上遅れるというのも聞いたことがない。「設置の必要性は一定ある」という玉虫色の先の有識者会議の報告書でさえ、県庁内に「設置ありき」の声があった

▼県の“奥の院”でどんなすったもんだがあるのかは知らないが、委員就任を敬遠されるのは無理もない。県政策企画部長は「忌憚(きたん)のない意見を」と求めた。が、議題は「費用対効果」はじめ「人口減少下の大学経営」「国の大学施策の動向」。結論ありきの気がしなくもない

▼委員も「育成する人材像を固めることが大事」のほか、県が育てたい人材や産業を尋ねる声。議題以前の問題であり、説明する必要はないと思っていたわけではあるまいが、時間がなかったのかもしれない。いわゆる“アリバイ証明”みたいな役割だった審議会や委員会を政策推進の“武器”にして国会を押し切っていったのが中曽根改革である。その後の役割に変遷はあるか

▼県立大に前のめりだった前知事の施策推進のために発足させたのが最初の有識者会議で、消極的な現知事のためにつくったのが今回の同会議か。谷川県議ではないが、失礼があってはなるまい。