持続可能な交通、本格討議スタート 志摩でG7交通大臣会合 ウクライナ復興支援

志摩市で開催中のG7三重・伊勢志摩交通大臣会合は17日、賢島の志摩観光ホテルで実質的な討議に入った。ウクライナに関する会議では、強靱(きょうじん)で持続可能な形で交通インフラを復興する重要性を確認。国際的なサプライチェーン(供給網)を確保するための作業部会を設ける方向で検討を進めることで合意した。各国代表らは会議の後、伊勢神宮とミキモト真珠島を訪れた。

議長の斉藤鉄夫国交相は会議を前にした宣言で、今回と同じ会場で平成28年にG7伊勢志摩サミットが開かれたことに触れ、伊勢志摩地域を「G7にとって大変意義深い場所」と紹介した。

気候変動や高齢化といった「共通の社会的課題」を「イノベーションの力で克服したい」と強調。「より良い未来の交通を実現する一歩となるよう、有意義な議論をしたいと思う」と述べた。

ウクライナに関する会議では、斉藤氏がロシアのウクライナ侵攻を「国際秩序を揺るがす暴挙。国際的な交通ネットワークやサプライチェーンにも甚大な悪影響を及ぼしている」と批判した。

その上で「各国が一体となって解決すべき。G7の交通大臣として看過できない」と強調。「今こそウクライナへの支持を確認し、交通部門の復興のあり方について議論したい」と呼びかけた。

ウクライナの復興を担当するクブラコフ副首相も対面で参加し、ダムや港の被害状況を説明。各国の支援に感謝した上で「繰り返しの支援が重要な意味を持っている」と述べ、支援の継続を求めた。

斉藤氏は東日本大震災の復興で得た知見をウクライナにも生かせると強調。破壊されたインフラをそのまま復旧させるのではなく、近代化した形で復興する必要性を訴える声も上がったという。

「イノベーションによる誰もがアクセス可能な交通の実現」をテーマにした会議では、交通分野のバリアフリー化を促進するため、G7間で実務者会合を開くことで合意。優良事例を共有することも確認した。

民間を交えた会議も開いた。各国の企業や研究機関が交通分野の最新技術を紹介。日本からは、近距離モビリティーを手がけるWHILL(東京都)の杉江理社長と日本郵船の長澤仁志会長が出席した。