適切な目標設定、磨いた押し相撲  東海四県高校相撲Vの宇治山田商高

【自分たちの目標を書き入れたホワイトボードを見る宇治山田商の選手ら=伊勢市黒瀬町の同校で】

今月4日、名古屋市のパロマ瑞穂運動公園相撲場で開催の東海四県高校選抜相撲大会(東海相撲競技会など主催)の団体戦で宇治山田商(三重県伊勢市)が優勝した。「素人軍団」(下里匡希監督)ながら地道な練習と適切な目標設定で、今年61回目の今年、48回大会以来5度目の優勝を果たした。

3人制の団体戦には東海四県から11校が出場。AとB、2つの組に分けて予選リーグを行った後、各組上位4校、計8校が決勝トーナメントに進出した。宇治山田商は予選B組(全5チーム)を4戦全勝で1位通過した。

決勝トーナメントは1回戦で愛工大名電(愛知)、準決勝で前年度優勝の飛龍(静岡)を下した。決勝も5年ぶりの優勝を目指した岐阜農林を2―1で下した。1―1で迎えた大将戦で3年生の大山蓮斗主将が下手投げで相手大将を破り15年ぶりの優勝を決めた。

小3から相撲を始め、宇治山田商が練習場所の三重クラブで練習を重ねてきた1年生中堅の中西鋭を除けばほぼ全員が高校から本格的に相撲の稽古を始めた。

小柄な選手が多い中、チームを挙げて取り組むのが押し相撲。177センチの体格で報徳学園高(兵庫)時代から世代トップの選手と渡り合ってきた下里監督の指導で、鋭い出足から、相手の体を起こし上げ、自分の有利な試合展開に持ち込む練習を繰り返している。

【熱心に練習をする宇治山田商の選手ら=伊勢市黒瀬町の同校で】

同監督が相撲のスタイル同様、重要視するのが適切な目標設定。数年前から選手らにチームと個人目標を土俵横に置いたホワイトボードに書き出させ、普段の練習から意識させている。

目標は短期と長期の2種類で、短期目標は約1週間、長期目標は約1カ月で書き直す。選手自身に目標を考えさせることで、自分たちを客観視する習慣をつけさせる狙いもあるという。

「最初は自分の長所、短所を考えるのも難しかった」と話す3年生先鋒の深江悠楽は「どの形になったら勝てるのか、自分でも分かるようになった」。東海四県の個人戦はチームで唯一ベスト8に勝ち残った。

「相手をしっかり見て当たることが東海四県で出来ていなかった」と反省する大山主将は、東海四県の後、「相手をしっかり見て当たる、まわしを確実に取る」を新たな個人目標とした。

東海四県の団体優勝を受け、チームの目標は「(今月18日、静岡県で開催の)東海高校総体団体・個人優勝」に変わった。5人制の東海総体団体戦は東海四県以上にチーム力が試される。下里監督は「皆で声を掛け合い、チーム一丸で頑張りたい」と話している。