自転車のヘルメット着用率11% 三重県警が県内調査 県議会一般質問

【一般質問した5議員=県議会議事堂で】

三重県議会6月定例月会議は8日、平畑武(新政みえ、2期、鈴鹿市選出)、石垣智矢(自民党、2期、いなべ市・員弁郡)、谷川孝栄(草莽、4期、東紀州)、山内道明(公明党、3期、四日市市)、吉田紋華(共産党、1期、津市)の5議員が一般質問した。県警は道交法改正で自転車のヘルメット着用が義務付けられたことを受けて県内で調査を実施した結果、ヘルメットの着用率は平均11・7%だったと報告。街頭での呼びかけなどで着用率の向上を図る考えを示した。石垣議員への答弁。

災害対策センターを

【平畑議員】

平畑 武議員(新政みえ)

災害対応の拠点となるセンターを設けた他県の事例を紹介し、設置を要請。防災対策部は予算などの観点から「直ちに整備するのは困難」としつつ、中長期的に必要性を検討する考えを示した。

【災対拠点】

平畑議員 県の災害対策本部は手狭で不都合があると思う。面積を広げる計画だと聞くが、関係機関が一堂に会した常設の災害対策本部センターが必要。昨今の情勢を踏まえ、核シェルターの機能を備えることも考えるべき。

山本防災対策部長 本格的な施設整備には多額を要し、土地利用計画との整合も必要。直ちに整備するのは困難だと認識している。本年度は県庁にオペレーションルームを設ける。中長期的な視点でセンターなどの本格的な施設整備を検討したい。

【横断歩道】

平畑議員 県内の横断歩道は令和元年時点で全体の42%に当たる約7500本が消失していたが、ここ数年で大きく改善した。今後も横断歩道の塗装が消えないよう、予算を確保してほしい。視認性アップにも努めてほしい。

難波県警本部長 横断歩道は施工後8年で著しく摩耗し、年間で2200本の塗り替えが必要。本年度も2200本分の予算を確保し、今後も適切な維持管理に努める。横断歩道の存在を知らせるマークや停止線の塗り替えも進め、位置や個数も工夫する。

男性育休の低下指摘

【石垣議員】

石垣 智矢議員(自民党)

県内で男性の育休取得率が低下したと指摘し、理由や対策を尋ねた。子ども・福祉部は経済活動の再開に伴う労働力不足が背景と分析。企業への働きかけに努めると説明した。

【育休】

石垣議員 男性県職員の育休取得率は67・8%で都道府県で2位だが、県内企業の取得率は令和3年度の調査で9・4%と、前年から3・5ポイント下落した。県が目標に掲げている17・2%との差が大きい。どう促進するか。

中村子ども・福祉部長 コロナ禍でも徐々に経済活動が再開し、労働力不足が深刻化したことなどが影響したと思う。育休を取得しづらい雰囲気なども大きく影響するため、企業への働きかけが重要。好事例の紹介や制度活用に向けたアドバイスを進める。

【ヘルメット】

石垣議員 道交法の改正により、4月1日から自転車でのヘルメット着用が努力義務となった。ヘルメットは命を守るために重要。着用率を高めるため、効果的な取り組みをしてほしい。県独自で着用率の実態調査も実施すべき。

難波県警本部長 4月に県内で独自に実施した調査では、着用率が平均11・7%だった。「自転車月間」に啓発のリーダーを委嘱したり、街頭で呼びかけたりしてきた。今後も頭部保護の重要性や被害軽減の効果を発信したい。定期的な調査も重要だと考える。

若者の出会い支援を

【谷川議員】

谷川 孝栄議員(草莽)

若者の出会いを支援するボランティアを育成するよう求めた。子ども・福祉部は、結婚を希望する人らをつなぐサポーターの募集を先月末に開始したと報告。7月下旬から養成講座を開く考えを示した。

【出会い支援】

谷川議員 若者は経済力が低く、仕事以外に出会いの場がないのも事実。若者が希望を持てる社会にすべき。子ども政策や人口減対策を持続可能にするには、出会いを支援するボランティアの育成が有効。出会い支援事業の状況は。

中村子ども・福祉部長 本年度は住民がボランティアで結婚を希望する人らをマッチングする「みえの縁結びサポーター」を養成する。先月31日に募集を始めた。7月下旬から養成講座を開く。多彩な支援が広がり、多くの希望がかなうよう取り組む。

【産業用大麻】

谷川議員 国では産業用大麻の規制緩和に向けて大麻取締法を改正する方向で検討が進められている。県は産業として成り立つように指導要領を改定したが、ここに来て他県に追い越されそうな気配が漂う。今後の取り組みは。

小見山雇用経済部長 産業用大麻は一般的な木に比べて二酸化炭素吸収量が五倍ほど高いほか、丈夫かつ軽量なことから注目が集まっている。活用の規制が緩和されれば、技術面でのサポートや経営上の相談対応など、多方面で積極的に支援したい。

県職員の人材育成は

【山内議員】

山内 道明議員(公明党)

地域課題の解決には県職員の人材育成が重要だと強調。一見知事は「時代に適応する能力が求められる」とし、人材育成の方向性を示す「人づくり基本方針」を改定する考えを示した。

【人材育成】

山内議員 地域社会の課題を乗り越えるためには連帯が必要。県民の力を結集できるような土壌を作らなければならない。そのためには、県職員が持っている力を発揮できる人材育成が特に重要だと考えるが、知事の考えは。

知事 県庁は県にとって重要なシンクタンク。令和2年に人づくり基本方針を作って若手を養成してきたが、時代は変わっていく。不確実な時代に適応する能力が求められる。外部からのストレスに負けない耐性も重要。基本方針の改定を考えている。

【ひきこもり】

山内議員 ひきこもり支援は誰も置き去りにしない社会へのプロセス。内閣府の調査から推計すると、県内では1万6千人がひきこもり状態にあるとされる。県独自の調査では、1270人が明らかになっている。現状と対応は。

中村子ども・福祉部長 SNS(交流サイト)やハンドブックで相談に関する情報を伝えるなど、当事者や家族への積極的な情報発信を進めている。「アウトリーチ支援員」を配置し、訪問型の相談も充実させている。当事者や家族に寄り添った支援をしたい。

奨学金支援対象拡大を

【吉田議員】

吉田 紋華議員(共産党)

「日本の学費は高く、奨学金の返還に苦しむ若者が多い」と訴え、奨学金の返還を支援する制度の対象者を広げるよう求めた。政策企画部は「他県の事例などを参考に今後も制度の充実を図る」と説明した。

【リニア】

吉田議員 リニア中央新幹線を巡っては、難工事や完成の遅れ、収入減などのリスクがある。県が策定するリニアの基本戦略には、これらのリスクを反映させるのか。それとも2027の開業予定を目指す姿勢なのか。

知事 リニアの期成同盟会では、多くの知事がリニアの1日も早い開業を望んでいる。県民のことを考えれば当然。基本戦略にはリニアの有用性や利便性を明記する。課題があれば、それにも対応する。いろんな方の意見を聞きながら進めたい。

【返還支援】

吉田議員 日本の学費は高く、奨学金の返還に苦しむ若者が多い。給付型の奨学金を設けるべき。県は100万円を上限に奨学金の返還を助成しているが、対象者は県外在住の既卒者などに限られている。対象を拡大すべき。

後田政策企画部長 給付型の奨学金は国が全国一律で実施し、対象者の拡大に向けた準備を進めている。県は若者の県内定着を目的として、平成28年度から奨学金の返還を助成している。これまでも拡大や見直しをしてきた。今後も充実を図りたい。