「長太の大楠」保護を要望 鈴鹿市に市民団体、落雷で被害 三重

【澤部長に要望書を手渡す蔭地代表=鈴鹿市役所で】

【鈴鹿】三重県鈴鹿市の市民団体「大楠が見える風景を愛する会(蔭地敏男代表)は6日、市に県天然記念物、長太の大楠の保護に関する要望書と約750人分の署名を提出した。

長太の大楠は、同市南長太町に自生するするクスノキ。樹齢千年以上と言われている巨木で樹高約26メートル。市は令和2年の落雷で大きな被害を受けたとして、現在、樹木医とともに土壌改良などの樹勢回復作業をする。

同会は市内の若松、愛宕両公民館で活動する写真サークルを中心に、約30人で構成。10年以上にわたり大クスを含めた風景を撮影する中で、市の樹勢回復事業の推移を見守ってきたが、改善の様子がないことから「このままでは枯れてしまう」と危機感を募らせ、要望書の提出を決めた。

要望書では11年分の降水量データや葉の状態の推移が分かる写真を基に、落雷だけが原因ではなく「乾期(10―3月)の降水量の減少や地下水脈の変化が樹勢に大きく影響している」と指摘。樹木医のセカンドオピニオン制導入や地下水脈の状況把握のためのボーリング調査の実施など、7項目を求める。

大楠の保護を求める署名は、11年間の写真展で集めた。中には末松則子市長の名前もあるという。

この日は来庁した蔭地代表(71)=同市末広北2丁目=が、澤卓男文化スポーツ部長に要望書と署名を手渡した。澤部長は「きちんと市長に届ける」と受け取った。

大窪隆仁課長は「現状は回復の兆しが見えているという状態」と話した。今後内容を検討し、9月ごろには回答するという。

蔭地代表は「年間200日以上のペースで大楠の写真を撮り続けてきた。写真から落雷の前から葉を落としているのが分かる。根本的な対策を見直す必要があるのではないか」と話した。