防波堤に壁画100メートル 長尾さん、祭りや自然を表現 三重・南伊勢町

【色鮮やかな壁画の前でテープカットをして完成を祝う長尾さん(中央)と関係者ら=南伊勢町神前浦で】

【度会郡】三重県南伊勢町神前浦の防波堤に描かれた高さ5メートル、長さ約100メートルの巨大壁画「調和と教え」の完成披露式が3日、現地で開かれた。世界で活躍する愛知県日進市の芸術家、長尾洋さん(42)がデザインのモチーフとなった同町の祭りや民話、自然を色彩豊かに表現。同町は今後、壁画を活用した町のPRや観光振興に力を入れていく。

町職員と長尾さんが高校時代の同級生だった縁で、地域活性化を目的にSNS(交流サイト)などで発信できるフォトスポットをつくろうと町が企画し、長尾さんに依頼。令和元年から防波堤をキャンバスにした壁画制作が始まった。

同年は壁面を洗浄して白い下地を塗り、スプレー塗料を使って同町の豊かな自然や生き物、波などをイメージした絵を描いた。コロナ禍で作業を中断した時期もあったが同3年から再開し、コロナの影響で中止になった南島地区の祭りや神事を鮮やかな色合いで表現。昨秋から今春にかけて南勢地区の民話をモチーフに牛鬼や白蛇、てんぐなどを描き上げた。

式では、関係者らがテープカットをして完成を祝った。上村久仁町長は長尾さんに感謝状を手渡し、「壁画を見ると南伊勢町の全てが描かれていて素晴らしい出来栄え」と喜んだ。

長尾さんは「壁画がこの町の一員として残って愛されてそれが地域外の人に伝わり、たくさんの人が訪れて魅力的な場所になっていくのでは」と話した。

会場には大勢の地元住民らが訪れ、壁画の写真撮影や餅まき、太鼓演奏などを楽しんでいた。