伊勢にEV専門レンタカー店 老舗GS経営「油米」が業態転換 三重

【EV専門レンタカー店をオープンさせた大西社長=伊勢市大世古で】

【伊勢】三重県伊勢市で長年ガソリンスタンドを経営する老舗「油米(あぶよね)」(同市大世古)が、電気自動車(EV)専門のレンタカー事業に乗り出した。今月、スタンド店から業態転換した新店舗「Aby(アビィ)レンタカー」をオープン。仕事や打ち合わせの場に使えるコワーキングスペースも併設した。EV専門レンタカー店は、市内では初となる。

【以前のガソリンスタンド店の事務所を改装したコワーキングスペース=伊勢市大世古で】

創業150余年の同社。かつて、あんどんのともし油や食用油の販売を手がけ、昭和37年に市内でいち早くガソリンスタンドを開店した。地元の商店などを顧客に、長年地域に根ざした商いを続けてきたが、市内の商店街の衰退などとともに経営不振となった。

2年前、亡き夫の後を継いだ大西昌子社長(75)は「数年でガソリンスタンドはなくなる。従業員を守るため何をすべきか」と、新規事業としてレンタカー店への転換を決断。国の事業再構築補助金を活用し、環境問題への関心の高まりから普及が進むEVに特化したレンタカー業に乗り出した。

取り扱う車種は、狭い路地でも小回りがきく2人乗りの「C+pod」(6時間4500円~)、4人乗りの「サクラ」(6時間7200円~)、長距離向きの5人乗り「リーフ」(6時間1万1000円~)。観光客だけでなく、自家用車を手放した地元の人や、企業へのリースも視野に入れている。

また、事業を地域活性につなげたいと、レンタカー利用者に、地元の老舗和菓子店や商業施設などと連携した料金割引などの優待サービスも用意。観光名所と提携先を巡るモデルコースも案内する。

併設したコワーキングスペースは、以前のガソリンスタンドの事務所を改装。15畳ほどの広さで、Wi―Fiを設備し、レンタカー利用者は無料で、そのほかは1時間200円で使うことができる。

大西社長は「車を貸すだけでなく、地域のお役に立つ事業にしたい」といい、「コワーキングスペースでセミナーやワークショップなども企画し、この場所を拠点に、町が元気になるような取り組みをしたい」と語った。

年中無休。予約受付は午前8時―午後8時。問い合わせはAbyレンタカー店=電話0596(28)2525=へ。