医療支え続け24年 ― 旭日双光章・保健衛生功労 松本純一氏(71)

【松本純一氏】

令和2年まで約24年間、地域や県、国の医師会役員として医療を支え続けた。「個人としていただくのはどうかという思いも強いが、勝手に代表と解釈して、ありがたく頂戴したい」と笑顔を浮かべる。

医師だった両親の背中を追い、医師の道を志すようになった。大学では泌尿器科を専攻。三重大付属病院、山田赤十字病院(現伊勢赤十字病院)での勤務医を経て、父が経営する松本医院を支えるようになった。

平成12年に独立して「まつもとクリニック」を開院。核家族化を背景に、大病院を中心とした病院完結型の医療が進む中、個人開業医として何ができるか模索し続けた。包括的な地域医療実現に向けて、介護や看護を含むチーム医療の必要性を唱え、現在医療法人として、デイサービスや有料老人ホームも運営する。

県医師会理事就任後の平成14年から医療保険担当理事として、社会保険医療の適正化を推進。医療、介護業界内の人材不足への懸念を背景に、診療報酬の適正な運営と円滑な実施に向けて力を注いだ。

度重なる診療報酬改定に向けて、中部医師会連合社会保険特別委員会等に足を運んだ。「地味で派手な仕事ではないが、正しく報酬が支払われないと医療も介護も人は集まらない。根本は国民が正しい医療を受ける環境作りができるかどうか。本来国の仕事ではあるが、誰もやってくれないならわれわれでやるしかない」。

伊勢地区医師会准看護学校が老朽化で取り壊しの危機を迎えた際には、国や県に協力を働きかけ、県内唯一の准看護師養成施設としての存続に貢献。新型コロナウイルス感染拡大の際には行政と連携していち早く注意喚起に努めた。「これからも地域の一開業医として精進したい」。

〈略歴〉杏林大医学部卒業後、勤務医を経て伊勢市黒瀬町にまつもとクリニックを開院。平成8年に伊勢市医師会(現伊勢地区医師会)理事に就任し、県医師会常任理事、同副会長、会長を歴任。平成26年から4年間、日本医師会常任理事を務めた。