仮眠時間を「労働」認定 津地裁判決、労基署決定を取り消し 三重

夜勤の仮眠時間を労働時間に組み入れないのは算定基準に誤りがあるなどとして、鳥羽国際ホテル(三重県鳥羽市鳥羽1丁目)の元従業員男性(61)が国を相手取り、休業補償給付支給決定の取り消しを求めた民事訴訟で、津地裁(竹内浩史裁判長)は23日、原告の主張を認め、決定取り消しを命じる判決を言い渡した。

訴状などによると、男性は平成12年9月から鳥羽国際ホテルで勤務していたが、28年9月に長期間にわたる過重労働が原因で心肺停止となり自宅から救急搬送された。

男性は低酸素脳症による後遺症を負い、労働者災害補償保険法に基づき伊勢労基署に休業補償給付を請求。同労基署は31年3月に約1400万円の支給を決定したが、男性は緊急時の対応など事実上労働の制約下にあった仮眠時間を労働時間から省いた基礎日額に誤りがあるとして、処分の取り消しを求めていた。

竹内裁判長は判決理由で、大浴場の清掃や海上桟橋の管理など、夜勤帯の作業の一部が仮眠時間にまで及んでいたことを認定。午前1時半―5時まで3時間半の仮眠時間のうち1時間20分について、「労基法上の労働時間として認められる」と結論づけた。

判決後、会見に臨んだ原告男性は「100%納得しているわけではないがある程度主張が認められたのはうれしい。自由な時間でない場合は労働時間であるという法整備が必要と感じる」と話していた。

伊勢労基署の担当者は「判決内容を検討して関係機関と協議したうえで判断する」とコメントした。