2023年2月11日(土)

▼阪神・淡路大震災から28年目で、今年も神戸市など各地で追悼のつどいが開かれた。関連死を含め6400人余。人口10万人当たりの自殺率も高かったが、関連死かどうかのハードルは高く、認定数はわずか

▼翌年の3月、神戸市助役が自殺したことも今ではほとんど話題になることもない。バイタリティーあふれ、次期市長候補とも目されたが、手がけた復興計画案の地元調整は難航し、撤回に追い込まれたケースも。次第にうつ状態となり、灯油をかぶり焼身自殺した

▼「国への精力的な陳情などで疲れていたのかもしれない」と市長はコメントしたがその後、財政危機でのリストラで、市長から肩をたたかれていたことが判明した。焼身自殺という手段から多様な臆測に新たに一つ、加わった

▼戦後間もなくは「自殺は年齢とともに増加し、老年層でもっとも急激」と言われた。老人福祉の充実とともに片寄りはなくなった。県警四日市北署で20代男性巡査が拳銃で自殺を図ったという衝撃的事件が発生した

▼将来を悲観するメモ書きが見つかった。県立高では3年男子が昨年8月自死していた。遺書はなく、いじめ情報もないが、県教委は「学校生活が背景の疑い」で第三者調査委員会で原因を調べる

▼16歳の一高生が「不可解」の遺書を残して華厳滝に身を投じ、世間を騒がせたのは明治36年。自殺の原因として昔からあげられているのは将来への漠然とした不安である。コロナ禍で若者の間に不安は募っているといわれる

▼とすれば、原因解明は容易ではない。比較して、防止策は容易かもしれない。