2023年2月12日(日)

▼ネットオークションで約1900万円の利益を得た伊勢市職員が副業禁止の地方公務員法違反で懲戒処分(減給)を受けた。「副業に当たるとは思っていなかった」が本人の弁で、市は職員全体の信用を著しく失墜させたとしている

▼法は「営利企業への従事等の制限」として「任命権者の許可を受けなければ報酬を得ていかなる事業若(も)しくは事務にも従事してはならない」と規定している。県は兼業農家率が高く、土日に農業をする職員は多い。法事の時期に休暇を取る僧侶兼務も少なくない

▼すべてが禁止というわけではないのに加え、昨年の岸田政権の経済政策「新しい資本主義」は重点施策である「人への投資と分配」の一つに副業・兼業も「推し進める」としている

▼民間が副業・兼業緩和に動く中で公務員は禁止というのもちぐはぐで、一時の副業アレルギーほどではなくなった。和歌山県は昨年、兼業公務員を公募した。情報技術で業務変革を図るデジタルトランスフォーメーション(DX)や「宇宙教育」に携わる人材が対象。技術革新が急で、県も民間公募し〝お役所仕事〟との摩擦が目立った分野でもある

▼広告収入をめざすユーチューバーや株式運用など個人のネット事業は本業、副業問わず注目されているが、公務員の副業として認められるかはグレーゾーン。副業で稼げるかも難しいとされているが、ネットオークションは損をしても比較的軽微で済むのではないか。副業として手頃な分野でもあろう

▼懲戒職員が新しい働き方改革のリーダーになるのも絵空事とはいえない日が近いのかも知れない。