2023年2月3日(金)

▼道の分かれ目が追分であり、季節の分かれ目が節分。そこに目に見えぬ力が働いていると日本人は考えてきた。中でも冬と春を分ける節分は特別。春が一年の始まりとする立春思想に基づくもので、立春は24節気の一つであり、正月と重なった。前日の節分は厄落としの習慣が重なり、寒気、病を災いをもたらす鬼と見立てて「魔目」すなわち鬼の目を狙って退治する行事が全国に広がった

▼コロナ禍で各神社の豆まきは2年続きで中止になった。今年も伊勢市の二見興玉神社などをはじめ全面解禁とはいかないようだが「鬼は外、福は内」と、元気な声を響かせる家族は増えるのではないか。アマビエが疫病退散に効果があるとその姿絵を飾ることが流行したが、近ごろあまり聞かない。コロナの正体が少しずつ分かってきたからか。鬼の方は、疫病などの原因であるとして払う考えは奈良時代から、豆まきは室町時代中期から始まった

▼鬼が怪物として描かれるようになったのも長い民間伝承からだが、基本は中国の陰陽五行説に基づく方位学からで、魔が来る鬼門とされる方角が十二支で表す丑寅(うしとら)のため。牛の角、虎皮のパンツが定番となり多様な変化をしていく

▼豆で体をこすって捨てる厄落としや、この日に着物を改める風習も続く地方もあるようだが、ここ数年はコロナに豆まきもたじたじだった。県の新規感染者も1日は1400人ほどで死者6人、一週間のクラスター(感染者集団)がなんと13件とまだまだ一筋縄でいかない気がするが、元気に豆をまいて改めて忍び寄るコロナへの警戒を新たにしたい。