2023年2月4日(土)

▼今ならキラキラネームの一つになるのだろうか。平成5年、新生児に父親が「悪魔」と名付けて届け出、市が受理したあと疑問視され、市は抹消手続きをして係争になり、全国的に話題になった

▼相談された法務省が、制限漢字ではないことからいったん「問題ない」と判断し、議論となって改めての相談に「不適切」と回答。親の命名権の乱用が問われた。父親は、この名でバッシングを受けるかもしれないが、バネにして向上も図れる。マイナスにもチャンスにもなると主張した

▼審判した東京家裁は、子の命名は親の自由で制約はないが、社会通念上、命名権の乱用と判定したが、受理しながら正式な手続きを経ず削除した市も違法とした。争いの長期化を嫌った親が別名で届けて落着して30年。法制審議会(法相の諮問機関)がカタカナや本来と違う読み方、当て字を使う「キラキラネーム」に「読み方として一般に認められているもの」というルールを設ける戸籍法改正などの要綱案をまとめた

▼「ルール化は難しい」とされて30年経って浮上したのはデジタル検索の効率をあげるためという。一人一人にとっての人格の一部が行政のデジタル化の目的で仕組みを変えることに専門家が首をかしげている

▼会社名などはカタカナ名が広がり、意味が分からなくなってきている。そしてネーミングライツ。桑名市は大山田コミュニティプラザの命名に精密自動車部品メーカー「光精工」と契約した。税金で作った公共物に特定企業の名を冠して自治体が収入を得る方式に大方の市民は違和感を持たなくなっている。