2023年1月21日(土)

▼県営住宅の家賃滞納者に対し、県が訴訟を起こすことにしたのはいつごろだったか。県税滞納額の増大が議会で問題になり、公平な負担の理念のもとで「逃げ得・ごね得を許すな」の掛け声で、県営住宅の家賃滞納がやり玉にあがった

▼県は督促状の回数や相談に応じるケースなどのマニュアルを作り、躊躇なく訴訟の方針を決定。そのことを一番大きく報じた新聞の拡大コピーを各県税事務所の相談コーナーの机に貼り付けた。津地裁で、訴訟の様子を見たことがある

▼県側は代理人2人が威儀を正して着席。被告側は代理人を立てない本人訴訟で、小さな腰の曲がった女性のお年寄りがやや遅れて出廷し、席に着いた。県側代理人の滑らかな陳述に答えられない。見かねて裁判官が意味を解説し、どう答えればいいかを例示しながら進行を始めた。逃げ得・ごね得は許せないが、このお年寄りを法廷に引き出す前に手を尽くすことはできなかったかという気になった

▼車の運転記録を提出しなかったなどで障害のある80歳の女性らへの生活保護費支給を停止した鈴鹿市に対し、津地裁、名古屋高裁は取り消しを認めたが、市の争う方針に基づき、女性は津地裁に提訴した。車の所有を認めてやったのに運転記録を提出しないばかりか係争に持ち込むなど「行きすぎ」(市社会福祉事務所長)と市はおかんむりだ。便宜を図ってやったのに何だ、ということだろう

▼県の障害者採用特別枠で、身体検査の提出を条件にし、人権問題だとの指摘で取りやめたことがある。鈴鹿市にはいまだ古い体質がこびりついているようだ。