一見知事「躍進の一年に」 本紙政経懇話会で講演、防災や子育て支援を 三重

【政経懇話会で講演する一見知事=津市大門で】

一見勝之三重県知事は19日、津センターパレス(津市大門)で開かれた伊勢新聞政経懇話会で「三重の明日のために~三重県庁による果敢な挑戦~」と題して講演した。「今年は躍進の一年にしたい」と強調。「知事としての責任を痛感している。ふるさとのためにしっかり頑張りたい」と述べ、防災対策や子育て支援、観光振興などに努める考えを示した。

一見知事は「三重県を前へ」を意識して県行政を進めていると説明。「県民は前に出るのが他県の人より苦手だが、三重にはすごく良いところが山ほどある。外国にも訴えなければならない」と述べた。

6月に志摩市内で開かれるG7(主要国首脳会議)の交通大臣会合が「前進」のきっかけになると強調。「再び三重がクローズアップされる機会。三重を前に押し出せるポイントだと思う」と語った。

リニア中央新幹線も県を「前進」させる要素の一つだと説明。岸田文雄首相から名古屋以西の早期開通に向けた協力の要請を受けたことや、亀山市内の県内駅候補地をJR東海に提案したことを紹介した。

その上で「リニアの効果が最大限、県全体に及ぶようにしなければならない」と強調。3カ所を提案している県内駅の候補地について「おそらく来年度には一つに絞り込まれる」との見通しを示した。

「今年は実行に移す年」とし、来年度は防災減災対策に予算を重点的に配分すると説明。岸田首相が4日の年頭記者会見で「異次元の少子化対策」を掲げたことを踏まえ、子育て支援を充実させる考えも示した。

築35年で老朽化が進む北勢児童相談所(四日市市)に、涙を浮かべて「知事として情けない」と語る場面も。「ハコモノと批判を受けてもやらなければならない」と述べ、建て替える考えを示した。

「観光関連の予算も倍増させる」と説明。来年の熊野古道世界遺産登録20周年や4年後のリニア品川―名古屋間開通、10年後の伊勢神宮式年遷宮を見据えて「多くの人に来てもらえるようにしたい」と語った。

初の海外出張となった台湾訪問の成果も紹介。百貨店でのトップセールスでは「三重の人気が高いと再認識した」とし、県内に進出する半導体企業との懇談では「投資に前向きだと感じた」と振り返った。

知事就任時にミサイルへの備えを尋ねたところ、職員らは「何を言っているんですか」との反応だったと紹介。「ミサイルが飛んでこないとは言えない」と述べ、訓練や避難施設の指定に意欲を示した。

この日の政経懇話会は、本紙の創刊145周年を記念した新春特別例会として開催。政財界などから約百人が出席した。講演後の祝賀会では本紙の歴史を紹介した後、前葉泰幸津市長の音頭で乾杯した。