2022年5月19日(木)

▼新型コロナの緊急事態宣言期間中、東京都が飲食店などに出した営業時間短縮命令は違法だとする判決を東京地裁が言い渡した。都は衝撃を受けているというが、三重県も内心、穏やかであるまい。判決の肝ともいえる「合理的説明がなされていない」ことについては、県も都に劣らない

▼直前まで「飲食店からコロナが広がった事実はない」などと言っていたのに、蔓延防止等重点措置などが適用されると真っ先に時短要請を出した。一見勝之知事になってから策定した「みえコロナガード」は、県独自の緊急警戒宣言で自動的に出す時短要請は目玉対策だ。できはしないだろうが、合理的説明などしようともしていない。飲食店だけが県の感染拡大防止策の〝スケープゴート〟にされている感がある

▼勢いで、県は従わなかった飲食店など34店舗に対して、法に基づき過料を求め、津地裁などに通知した。一方で、法が定めた違反店舗の公表はしなかった。公表するとその店に顧客が殺到する恐れがあるからという。悪法には従わないということか。法の精神も公務員の順法義務もあったものではない

▼首尾一貫しない県のコロナ行政に、県医師会の一部会員から憤激の声もあがっている。手探りで多様な問題に忙殺されているためもあろうが、自分たちは〝正義〟を行使しているという思いが、有無を言わせぬ措置をとらせているのかもしれない

▼コロナ禍になって、ちまたでは感染者への不当な差別や県外ナンバー監視のほかマスク警察、自粛警察と称される〝正義の人〟が続出した。一般論だが自省なき正義は怖い。