2022年5月20日(金)

▼新型コロナウイルス感染症の死亡事例のうち、県は十件を公表しないミスがあったと発表した。また隠蔽(いんぺい)かというのは早とちりとして、県の体質を象徴してはいる

▼まず、どんなミスかだが、コロナが直接の死因でないため「公表は不要」と判断したことなどが原因、とする一方で、担当部署に死亡連絡が入っていなかったことと、原因不明が一件ずつ。ケアレスミスか判断ミスか。「など」の方に根本の問題がある気がするが、再発防止は「情報や対応を共有する体制を強化した」。実効性は問わぬということだろう

▼公表ミスは「モニタリング指標に死者数はなく、大きな影響はない」。非公表の中に死者としてもっとも若い部類の50代がいるが、それも含め、死者の分析が無視されるモニタリング指標というものは、何か大切なものが抜け落ちていないか

▼どんな小さな会議でも原則公開で議事録作成と言っていたのはカラ出張事件で県が大揺れした直後。情報公開度全国一にもなったが今は昔。同事件は情報公開条例の力が大きいが、思い出すのは総務系中堅幹部の言葉だ。「だから、条例施行前にきちんと記録を整理しておけと言ったんだ」

▼副知事が公費でのゴルフを知事から指摘され「外部には漏れませんから」と言った話も語り継がれていた。文化は引き継がれているのだろう。不祥事を起こすのは一部職員で、大多数は真面目という言い方もされる。同じ環境になれば大多数が同じことをすることを認識しなければ対策になるまい

▼「情報や対応を共有する」体制づくりは組織ぐるみへの一歩でもある。