2022年4月27日(水)

▼児童養護施設への入所負担金が免除される家庭から、三重県は何年にもわたって徴収していた。5つの児童相談所で誤りが見つかり、県は時効が成立しているという平成28年度以前を黙殺した上で、過徴収分全額を返還する

▼4年分ということになるのか。対象は10世帯で金額は28万円。「(ほとんどの)職員が制度を十分に理解していなかった」(子育て支援課)という割に、件数、金額とも大きくない。そう真剣に取り組むことかと、担当者らもあまり関心をもってなかったのではないか

▼制度は児童福祉法施行細則に明記され、1人親世帯や障害者がいる世帯などの徴収が免除される。しかし、児相の職員らはその対象世帯になるかどうかを聞き取りをせず、面談などで判明した場合にだけ、免除の手続きをしていたという。対象が10世帯だったかどうかも、にわかに怪しく思えてくる。福祉の切り捨てともいえることが、ほとんど目立たないところで日常的に行われているのではないか

▼ことは今回発覚したケースだけでない。広く福祉の現場でまかり通っていることのような気もしてくるのである。時効を理由に28年度以前の調査をしないという判断が、そのことを物語っていないか。それ以前に誤徴収があったのは自明の理だと多くの県民は思えるが、その金額の小ささに対し、費やす労力の大きさは、県職員には釣り合いが取れぬことだろう。職員の都合が優先され、その差額に一喜一憂する県民がいることは二の次になるに違いない

▼また、お決まりの役に立たない再発防止策でお茶を濁すのだろう。