2021年12月17日(金)

▼RDF(ごみ固形燃料)貯蔵槽の爆発で消防職員2人が死亡する事故から18年。RDF事業を総括する中間報告書の原案が県議会に提出された。最終報告書は来年度中という。20年がかりの作業だ

▼県政史上というより、県が思い込みで始めて最悪の結果を招いた事業である。〝総括〟しては議会からダメを出されるなどし、前知事からも尻をたたかれ、早期幕引きを信条とする県としては、後ろ向きとして毛嫌いする過去を振り返る作業を続けてきた

▼自己弁護を何より優先させるお役人気質のせいか、何度総括しても議会の腹にストンと収まらない。「厳しさが足りない」「良いことなど、ほとんどなかった」などの指摘が相次ぐのはそのためだが、県としては、指摘を都合よく解釈するから平行線はどこまで行っても交わらない

▼事故原因を「安全を重視する意識の欠如」としたのが「これまでの総括」になかった新味らしい。前知事の視点を取り入れたか、目先を変えたか。そうには違いないが、RDFの危険性など考えてもみなかったのではないか。先進地を視察したが、素材についての研究成果などは調査しようともしなかった

▼「リサイクルの一環」「市町の負担軽減」などの後付けの理由は、そろそろ順位を下げてはどうか。青山高原分譲事業に代わる企業庁の余剰人員対策としてRDFに飛びついたことは自明だろう。プロポーザルでの業者決定も検証が必要だ

▼「負の遺産を残した」と奥野英介委員。古くは四日市公害。近くはフェロシルト事件。それらのようにうやむやな幕引きにしてはならない。