2021年11月14日(日)

▼知事交代で〝恒例〟の長期計画の〝名称〟変更である。「強じんな美し国ビジョンみえ」(仮称)―「強じんな国土」の国策と県の観光キャンペーン「美し国みえ」を足して二で割る趣がある。年度ごとの行動計画の名も「経営方針」から「行政展開方針」へ。「稼ぐことや収益を上げることに特化してしまう可能性があるとの危惧を抱いていた」と一見勝之知事

▼前知事と蜜月関係にあった東芝の分割案が発表された同じ日というのも因縁めく。グループの飛躍を目指すという建前は建前として、短期的利益を求める「物言う株主」への対応とされる。前知事が唱えた「戦略的不平等の勧め」すなわち、県に利益があるなら不平等もいとわないという施策よサヨウナラ、である

▼前知事は経済産業省出身。所管する法令に乏しく、施策執行は行政指導中心で、前身の通産省は〝ダボハゼ官庁〟と言われた。現知事は国土交通省で法制度が厳格な運輸畑。海上保安庁幹部も体験している。昭和40年代初め、公害Gメンとして活躍した四日市海上保安部警備救難課長を思い出させる

▼県の公害担当部局の協力申し入れを門前払いした。大要「知事は公害対策と産業振興の二足のわらじを履く。信用できない」と著書にある。「水と油」と言えばおもしろいが、一見知事は国際観光振興会へ出向しパリに駐在。二つのわらじを別々に履いてきた

▼県民参加型予算(みんつく予算)の県民投票廃止を発表する一方「やはり良いということなら、そうしたい」。まなざしが揺れるのもむしろ魅力と錯覚させる、ハネムーン期間である。