2021年9月8日(水)

▼久々に青木謙順県議会議長を紙面で見た、定例記者会見だった。新型コロナウイルスの猛威に三重とこわか国体・大会の中止、鈴木英敬知事の辞職表明―と、県政は緊迫した課題続きだが、議長会見は緊迫感を一時忘れさせてくれるようでほっとする

▼国体・大会の延期について県議らの意見を聞き取るという。競技団体や市町の意見に加え「議員の意見も」必要という。反対する理由はない。中止については「つらく悲しい決断」で「県民の命と安全を最優先に考えると致し方のない判断」と理解している。とするなら、どんな意見がでてもおよそ想定の範囲内でもあろう

▼前回の3日の会見では、知事辞職の可能性を「想定しておく必要」と語った。辞職表明はその2日後。11日は議会でも説明した。何を想定し、実質知事不在や死に体になるなどの可能性にどんな対応をどしたかは明かではない

▼昭和34年の伊勢湾台風では、田中覚知事は米国出張で不在。副知事らと連絡、指示し、十分対応できると確信したというのが、帰国しなかったことを議会に追及された知事の釈明だが、当時の野呂恭一議長は「〝知事兼務〟の形で災害復旧と遺族対策の陣頭指揮をとった」

▼県民の負託を受けている議長の存在は貴重だったと副知事らも答弁している。二元代表制などは知られていなかったが、副知事への起用をめざす議員もいた。県は辞職に伴う1日の知事空白のため、廣田恵子副知事を職務代理者にした

▼「新型コロナの対応をはじめ、皆で協力しながら取り組みたい」。議会は「皆」に入っているかどうか。