2021年9月7日(火)

▼知事選挙連載企画で、オンライン活用は一つのテーマだろうと予測していたが的中した。その活用ぶりのお粗末さとともに

▼街頭演説の様子をSNS(会員制交流サイト)で発信したり、支援団体など中心のウェブ会議で有権者と会話したり。「ネット選挙」が解禁されて8年だが、街頭での握手、個人演説会など、これまでの触れあい中心の選挙運動の実質添え物的位置付けは、コロナ禍になっても大きな違いはないようだ

▼芸能人やアスリートの発信力をうらやんだり、「有権者もオンラインで候補者情報を入手する意識が低い」「(スマホ利用を)もう少し選挙にも目を向けて」と陣営内でぼやきの声が聞こえるようでは、米大統領選挙や英国のEU去就を決める国民投票を、英系軍事下請け業者がフェイスブックの個人データを流用して操作したなどと聞いても、現実の世界のこととは思わないのではないか

▼内部告発した24歳のカナダ人、クリストファー・ワイリー氏は、もともとは米大統領選挙でのオバマ陣営の戦略を学ぶためにカナダ議会から派遣されたことから、AI利用の選挙運動に精通していった。そこはデータ至上主義の世界。ビジュアル指向の「ビデオは忘れろ」と指示された。何をテーマにして誰に話しかけなければならないかを正確に見極めることが大前提だった

▼有権者の情報を取り込み、趣味趣向や行動の基準をAIで分析し、どんな有権者にどんな方法で自陣営に好感を、相手陣営に不快感を発信していくか研究する。12年前のこと。手法はともあれ大人と子どもほどの開きはある。