2021年4月14日(水)

▼教諭の心ない発言に傷つけられたと訴えた生徒の保護者が県教委の再調査結果を聞いて「このぐらいのものだと思っていました」。思っていたというより、ああやっぱりか、という感覚に近いのではないか。深い失望がのぞく。同感である

▼新型コロナウイルス感染症の検査を受けた生徒に40代の県立高教諭が「おまえが来たでマスクするわ」と発言し「聞いて耳を疑った」(鈴木英敬知事)問題である。知事の再調査の指示で外部弁護士2人が関係者に聞き取りし、教諭のマスク発言に「危ないで」という言葉が含まれていたという生徒側の主張を検証した

▼報告書は確認できなかったとしながらも「あったか否かは関係がない。当該生徒への配慮が欠けていたのは明らか」とし、学校の対応の不誠実さや、不十分な事実確認のまま幕引きを図り「生徒や保護者に不信感を与える結果となってしまった」責任を厳しく批判した

▼県教委はこれを受け「生徒を傷つけたことに変わりなく」という大ざっぱな物言いで追加処分などにほおかぶりし、学校の責任にも触れなかった。生徒、保護者に結果を伝えだだけで、不誠実な対応をどう克服するかなどは考えもしなかったに違いない

▼木平芳定教育長が「あってはならない発言」と不適切な学校の対応を陳謝した。「不誠実」を「不適切」に置き換えたのは、まずかったのはやり方ということか。わいせつも体罰も差別的な発言も「あってはならない」だ

▼神は細部に宿る。何でもかんても「本質に変わりない」でおしまいにするのではきめ細かな教育ができようはずもない。