<まる見えリポート>常設販売へ有志手作り おわせマルシェ13日オープン

【内覧会の参加者におわせマルシェについて説明する小倉さん(右)=尾鷲市向井で】

三重県内外の特産品や手作り雑貨などを常設販売する「おわせマルシェ」が13日、尾鷲市向井にオープンする。昨年10月から尾鷲市の有志約30人が倉庫を改装するなど準備に取り組んできた。同市の浄化槽管理会社「南清社」社長で、おわせマルシェオーナーの小倉裕司さん(29)は「人と人をつなぎ、尾鷲を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

おわせマルシェはもともと、尾鷲商工会議所青年部が地域活性化を目的に、県立熊野古道センター(同市向井)で平成29年に初開催し、これまで3回開いた。マルシェには県内外から多くの事業者が出店し、さんまずしやミカンなどの特産品や雑貨などを販売。最も多いときで約8千人が来場し、人気を博した。

しかし、おわせマルシェで実行委員長を務めてきた小倉さんは、駐車場の収容台数などの問題で、「これ以上客を増やすことができない」と感じたという。そんなとき、中部電力が所有する防災倉庫を借りられる話を聞き、「倉庫を改装して商品を毎日販売できるようにしよう」と、おわせマルシェを発案。尾鷲商工会議所青年部から小倉さんが社長を務める会社にマルシェの運営権を移行し、商品を常設販売できる施設を目指して倉庫を自分たちの手で改修することに。施設ではワークショップの開催や、カレー、デザートなどを販売するカフェの運営も予定している。

改修には市内外から地元を中心にした平均年齢30歳の有志約30人が集まり、オープンに向けて毎夜、10―15人ほどで準備を進めてきた。有志の1人、花井聖馬さん(30)は施設内に飾る看板を担当。尾鷲市の海や惑星、宇宙をイメージし、30色のスプレーやアクリル絵の具を使って制作した。

小倉さんたちは先月14日、出店者に向けた内覧会を開き、市内をはじめ、松阪や鈴鹿、伊勢市などの事業者が参加した。小倉さんは、出店料が1ブース月額3千円で手数料として売り上げの20%を徴収することや、電子商取引(EC)サイトを今後開設することなどを説明し、参加者は熱心にメモを取っていた。

出店を考えているという尾鷲市中央町の世古米穀店の世古美沙樹さん(33)は「ワークショップや委託などいろんな方法で参加させてもらえると聞いたので楽しみが増えた。コメやアクセサリーなどを出品したい」と期待を寄せていた。

内覧会には加藤千速市長と尾鷲商工会議所の伊藤整会頭も訪れた。施設内を視察した加藤市長は「交流人口を高めるための大事な事業で大いに期待している。市もPRなどで協力していきたい」と話した。伊藤会頭は「若い人に尾鷲市を引っ張っていってもらいたい。期待している」と語った。

施設のオープン記念として13―14日、施設の外でプチおわせマルシェを開く予定。雨天中止。

小倉さんは「生まれ育った尾鷲だからこそ嫌いな部分もある。でもそれだけでは何も生まれない。今できることをやっていきたい」と話した。