2021年2月19日(金)

▼児童虐待の判断に全国で初めてAI(人工知能)を活用するとして昨年、鳴り物入りで運用開始した「児童虐待対応支援システム」が、新年度予算案で当初、前年度を上回る額が要求され、理由の問い合わせに回答がないまま最終的に半額になった。契約先の企業の顧問に元児童相談所所長が

▼県当局は当然、元所長の存在が「(システムの)導入の経緯や契約金額とは全く関係ない」と強調する。本紙企画『検証・県予算』が「果たして(県民の)理解は得られるか」と問う。コラム子は「歴史は繰り返す」という言葉が脳裏を駆け巡る

▼田川亮三元知事の娘婿が県の契約相手の電子機器メーカーの社員で、北川正恭元知事が職員に1台ずつ配備したパソコン業者の顧問になっていていずれも議会で追及された。議会棟も県警本部棟も県土木部(当時)職員らの疑惑の行動が問題になり、にもかかわらず、幹部職員らが発注先に再就職していた

▼土木部OBの「吉田山会」なる組織があり、情報交換して現役からの見積もり情報の断片から全体を導き出していた。国家公務員が退職前5年間に担当した業界への再就職は2年間禁止されていたころの話である。法改正で禁止の代わりに再就職あっせんの禁止と、再就職先の届け出が義務づけられた

▼文部科学省がその抜け穴を設けて事務次官辞任に至ったが、県の幹部職員公表制度から「顧問」は対象外なのかどうか。ここ数年「児相所長」は見当たらないが、担当者は承知らしい。歴史は繰り返す。土木部の垣根を越え、「悪しき平等」を提唱する知事のもとで随意契約で。