2021年2月18日(木)

▼新型コロナウイルス感染症ワクチンの「先行接種」が日本でも始まり、県には18日に県内4病院に届き、近く接種が始まる。世界の接種開始から2カ月遅れ。米国では約4千万人、イスラエルでは国民の4割が接種しているが、接種が始まっていない国も130国ある。日本は先行組とはいえようが、米・ファイザー社製が14日に薬事承認を受けてからの異例のスピード接種。政府のあせりがうかがえる

▼マスク騒動を思わせるワクチン事情でもある。米国では複数承認され、英国でも自国製の接種が進む。中国も2種類承認し、ハンガリーなど欧州にも提供し、ワクチン外交が進んでいる。対して、日本のめどは立たず、話題になることも少ない

▼気がつくと日本製はなく、輸入に依存していたことが分かったマスク不足が再来したかのようである。マスク不足は今回の新型コロナばかりではない。SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)などのウイルスの脅威が報告された平成14年、同24年もマスクがあらゆる店頭から消えた。採算に合わないことが国内のマスク生産を崩壊させていた

▼ワクチンもまた、経済の論理が研究体制を縮小させていたと言えなくはない。ワクチンの副作用問題で国の敗訴が相次ぎ、予防接種法が平成6年に改正されて、接種は個人に委ねられ、国は責任から身を引いた。ワクチン製造は採算に合わなくなって製薬会社が手を引いてしまったのである

▼マスク騒動では多くの異業種から参入があった。ワクチン開発はそうはいかないだけである。