2021年1月21日(木)

▼「戦略的不平等」がモットーの鈴木英敬知事が、国の緊急事態宣言対象の自治体の飲食店にだけ営業時短要請に伴う一時金が国から支給されるのは「不平等」だとして、県などへの範囲拡大を国に要望した。不平等に扱う側に立っている時は「戦略的に許される」が、扱われる側に回されると「おかしい」となるのだろう。知事も人の子である

▼「公平性」にこだわって一企業との付き合いを敬遠して「せっかくのビジネスチャンスを行政が潰してしまう」ことを知事は「悪平等」と呼ぶ。県に有益と確信できれば「提携してビジネスに取り組んでいくべき」というから、公共事業でいえば随意契約の理屈か。一般競争入札は経済的視点からは不経済である

▼県の緊急警戒宣言も四日市、鈴鹿、桑名の3市だけ。時短要請に応じた店は協力金の支給を喜ぶ。半面、感染程度は3市に変わらぬ津市の飲食店は宣言で客足は途絶えたとして県全域への対象拡大を求める。知事は「ぜひ(事業継続の)補助金を活用してほしい」

▼知事は「コロナ理由の廃業を止めたい」と中小事業所への支援策をまとめた「緊急支援パッケージ」を発表した。津市の飲食店によるとすでに昨年中に数件廃業し、自分も「今は店をたたむかどうかの瀬戸際」だという。どこかで聞いたような言葉だ

▼「小規模店は春まで持たない」とも。東京都では対象が中小の協力金に大手が反発して時短に応じない。苦しいのは大手も中小も同じ。差別だというのである。公平性や平等を追求すれば支援策を「潰してしまわざるを得ない」事態なのかもしなれない。