2021年1月17日(日)

▼三重大学付属病院に続き、県立総合医療センターよお前もか。県を代表する公的病院の相次ぐ不正発覚は「診療報酬制度に対する医師の理解が不足していた」という新保秀人院長の釈明がむなしく聞こえる。医療機関の闇とまで言えなくても、風通しの悪さを思い知らされる
▼医師からの請求が「事務部門でも素通りしていた」というのが、いかにも県立病院らしい。医師の請求、すなわち意向が事務部門で素通りになるのは、果たして診療報酬だけのことか。業務全般において医師の意向がまかり通る現状が、たまたま法が優先される診療報酬分野で噴出したのではないか
▼県立4病院時代に「天皇」の異名をとる病院長がいて誰も直言できなかったし、県病院事業庁のあっせんで訪ねた患者が「権限は自分にある」という医者に門前払いを食わされたこともある。医師の交代を打診して転院を求められたことは親族、知人など複数。周囲のそんたくもだが、医師本人から直接言われたことも
▼不正請求は特定地方独立行政法人になって2年後からの分だけだが、県立病院当時はどうだったのか。発覚とともに男性参事を監督責任として文書注意の処分という。医師はどうしたのか。文書注意処分というのは形式的で、三重大学付属病院の記録改ざん事件に比べても著しく軽微だが、だまし取ったのは保険金だけで単純だからということだろうか
▼第三者を交えた半年余りの検証委員会の調査報告書も、公表されたようではない。「安全確保と事務の適正化に向けて取り組んでいる」(病院長)。素通りの解決にはなるまい。