2021年1月16日(土)

▼歌は世につれ世は歌につれ。ことわざもまた―。「情けは人のためならず」について、国の調査では「人に情けを掛けておくと巡り巡って自分のためになる」という本来の意味と「情けを掛けて助けてやることは、結局その人のためにならない」の変化への回答が半々。60歳以上を除く全ての年代で変化が多かった

▼「二兎追うものは一兎をも得ず」も「二兎追わぬものは一兎をも得ず」を説く経済人が表れ「二兎追わねば二兎は得られぬ」も。自然界ではどんな捕食者でも狙いを一兎あるいは一頭に絞り込まねば狩りは失敗する。自然界のおきてを基本としたことわざが人間の処世訓として変化してきたといえようか

▼「緊急警戒宣言」を出した鈴木英敬知事は、今後の地域対象の拡大について「感染防止のために必要なら躊躇なくやっていく」。「心苦しいお願い」と断りながらおずおずと出した感のある宣言が「脱兎のごとく」強化する可能性もあるということか

▼3市に絞った理由にいまひとつ説得力がないが、3市以外でも、大人数、長時間の飲食が「見られれば、即座に止めに行くことがあり得る」。ぜひ〝密告を〟と言っているようでもある

▼飲食自粛を求めながら、飲食店支援事業「GoToイート」は継続する。基本的にブレーキとアクセルを使い分けるという県民へのメッセージに変化はないらしい。感染防止と経済支援策の二兎を追わねば二兎は得られぬということだろう

▼「苦渋の決断」という知事の立場が察しれて余りあるほどだが、自然界相手に人間の都合が通用しないことも言うまでもない。