2021年1月7日(木)

▼首都圏の緊急事態宣言発令に併せて、政府は営業時間短縮の知事要請などに応じない飲食店名を公表できるよう新型コロナウイルス特別措置法の政令を改正する方針という。個人情報などお構いなし。お上に逆らうやからならいくらでも公表しますよということか

▼鈴木英敬知事が「差別」や「偏見」の文言がなく、情報提供のガイドラインが活用されていないと政府の「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」で指摘した法改正も、それに沿う範囲にとどまる気配。情報提供ガイドラインの活用が何を指すかは知らぬが、「県民に伝わるように伝える難しさ」を痛感した知事も、国の情報の伝え方には言いたいことがあるのかもしれない

▼気象庁の長谷川直之新長官が就任会見で「最適なタイミングで正しい情報を出すことが重要」と語っていた。国民の安全を守るには大切ということであり、永遠の課題ということでもあるのだろう。空振りや遅すぎた情報発信の記憶が鮮明だ

▼正しい情報というものが「正確」だけでは意味がないことを新長官会見は示している。タイミングを失った情報は誤報より始末が悪い。遅れた〝正確な情報〟が時に犠牲を大きくしかねないのが気象情報というものだろう

▼国、県などはこれに加えて自律他律で一部が伏せられることだ。全体の受け止め方、意味が正反対になってしまったりする。「最適なタイミング」が果たしてあるのかどうか。安全・安心のための情報は、「正確なものをいち早く」しか人知の及ぶところではないことを、今こそ真剣に考えるべきだろう。